このページでは、建設業許可の概要についてご案内します。
なお本ページの記載は大阪府の建設業許可の手引き(令和 3年 10月改訂版)を参考にしています。
実際の申請は、営業所を設ける都道府県又は大臣許可の手引きを参照のうえ手続きを行ってください。
【目次】
・建設業許可の制度概要
・大臣許可と知事許可
・特定建設業と一般建設業
・建設工事の種類と業種
・許可の有効期限
・許可申請の種類
・建設業の許可の要件等
【建設業許可の制度概要】
建設工事の完成を請け負うことを営業とする場合は、“軽微な建設工事“のみを請け負う場合を除いて、取り扱う建設工事の種類に応じた業種ごとに、建設業法第3条に基づき『一般建設業』又は『特定建設業』の許可を取得しなければなりません。(元請・下請負の別、また法人・個人の別、公共・民間工事の別を問わず許可の取得が必要です。)
ただし、次に掲げる工事のみを請け負う場合は、必ずしも建設業許可を必要としません。
< 建 設 業 許 可 を 必 要 と し な い “ 軽 微 な 建 設 工 事 ” > | |||||||
建設工事の区分 | 建設工事の内容 | ||||||
建築一式工事の場合 | ・1件の請負金額が1,500万円未満の工事 又は ・延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事 |
請負金額には消費税及び地方消費税を含みます。 | |||||
上記以外の場合 | ・1件の請負金額が500万円未満の工事 |
上記の請負金額について、
●同一の建設業を営むものが工事の完成を二つ以上の契約に分割して請け負うときは、正当な理由に基づいて契約を分割したときを除いて、各契約の請負代金の合計額とします。
●工事に必要となる材料を注文者が提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送費を当該請負契約の請負代金の額に加えた額とします。
※軽微な建設工事を超える500万円以上の工事を建設業許可が無い状態で請負契約を締結した場合には、無許可業者として建設業法違反になり罰則が科されます。
⇒3年以以下の懲役又は300万円以下の罰金/法人には1億円以下の罰金(建設業法47条・53条)
【大臣許可と知事許可】
< “ 大 臣 許 可 ” と “ 知 事 許 可 ” > | |||||||
国土交通大臣許可 | 2つ以上の都道府県に営業所を設けて営業する場合 | ||||||
都道府県知事許可 | 1つの都道府県のみに営業所を設けて営業する場合 |
※『営業所』とは、本店または支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいいます。
これら以外でも他の営業所に対して請負契約に関する指導監督を行うなど、建設業に係る営業を実質的に関与する場合も、ここでいう営業所になります。
ただし、単に登記上本店とされているだけで、実際には建設業に関する営業を行わない店舗や建設業とは無関係な支店、営業所等は、ここでいう営業所には該当しません。
【特定建設業と一般建設業】
< “ 特 定 建 設 業 ” と “ 一 般 建 設 業 ” > | |||||||
特定建設業許可 | 発注者から直接請け負う1件の元請工事につき、一次下請業者への下請代金の合計額(税込)が4,500 万円以上(建築一式工事の場合は 7,000 万円以上)となる場合 | ||||||
一般建設業許可 | 特定建設業以外の場合 |
●請負金額には消費税及び地方消費税を含みます。
●発注者から直接請け負った元請工事を下請人に施工させる下請代金の額(税込)での区別であり、発注者から直接請負う請負金額(税込)については、一般・特定に関わらず制限はありません。
●下請負人が更にいわゆる孫請負人に施工させる額が上記の額以上であっても当該下請負人は特定建設業の許可を受ける必要はありません。
●「下請代金の額4,500万円(建築一式工事では 7,000 万円)」には、元請負人が提供する材料等の価格は含みません。
●「下請代金の額4,500万円(建築一式工事では 7,000 万円)」について、一次下請業者が複数ある場合には、各一次下請代金の総額で判断します。
(例)発注者から直接請け負った元請業者AがB・C・Dの3社へ一次下請に出した場合
◎一次下請B・C・Dの下請代金の総額が4,500万円以上 ⇒ 元請Aは特定建設業の許可が必要です。
◎一次下請B・C・Dの下請代金の総額が4,500万円未満 ⇒ 元請Aは一般建設業の許可で足ります。
(下請代金の額4,500万円は建築一式工事にあっては 7,000 万円)
【建設工事の種類と業種】
建設工事は、土木一式工事と建築一式工事の2つの一式工事と27の専門工事に分類され、それぞれに応じて29の業種が法律に定められています。
< 建 設 業 許 可 の 業 種 区 分 > | |||
区分 | 建設工事の種類 | ||
一式工事 (2業種) |
土木一式工事 | ||
建築一式工事 | |||
専門工事 (27業種) |
大工工事 | 鉄筋工事 | 熱絶縁工事 |
左官工事 | 舗装工事 | 電気通信工事 | |
とび・土工・コンクリート工事 | しゅんせつ工事 | 造園工事 | |
石工事 | 板金工事 | さく井工事 | |
屋根工事 | ガラス工事 | 建具工事 | |
電気工事 | 塗装工事 | 水道施設工事 | |
管工事 | 防水工事 | 消防施設工事 | |
タイル・れんが・ブロック工事 | 内装仕上工事 | 清掃施設工事 | |
鋼構造物工事 | 機械器具設置工事 | 解体工事 |
●土木一式工事及び建築一式工事の二つの一式工事は、他の27の専門工事と異なり、『総合的な企画、指導及び調整のもとに土木工作物又は建築物を建設する工事で、原則として元請の立場で総合的なマネージメント(注文主、下請人、監督官庁、工事現場近隣等との調整や工事の進行管理等)を必要とし、かつ工事の規模、複雑性からみて総合的な企画、指導及び調整を必要とし、個別の専門的な工事として施工することが困難であると認められる工事』です。
●一式工事の許可を受けていれば、関連する専門工事の請負はできると思われていますが、専門工事だけを請負う場合は、専門工事について許可を受ける必要があります。
例えば、建築工事業の許可を受けている建設業者がインテリア工事を請負う場合は内装仕上工事業の許可が必要となります。
●建設業の許可は、特定建設業、一般建設業の区分ごとに、また、業種ごとに受ける必要があり、同時に2つ以上の業種の許可を受けることができます。
ただし、1つの業種に関しては、特定建設業及び一般建設業に重複して許可を受けることができません。また、許可を受けた後に、新たに別の業種の許可を追加で受けることもできます。
なお、許可を受けていない業種に係る建設工事は請け負うことができませんが(軽微な工事は除く)、本体工事に附帯する工事については、発注者の利便性の観点から、許可を受けている本体工事と併せて許可を受けていない附帯工事についても請け負うことができます。
◎付帯工事とは◎
【附帯工事】は、以下により判断します。全く関連のない二つ以上の工事は該当しません。
ア 一連の工事又は一体の工事として施工する他の工事
イ 本体工事を施工した結果、発生した工事又は本体工事を施工するにあたり必要な他の工事
【許可の有効期限】
許可の有効期間は5年間で、許可日から5年目を経過する日の前日をもって満了します。
それ以降も引き続いて建設業を営もうとする場合は、期間が満了する日の30日前までに、許可の更新を受ける必要があります。
【許可申請の種類】
建設業許可の申請は、次の区分に分類されます。
< 許 可 申 請 の 種 類 > | |||||||
①新規 | 有効な許可を受けていない者が申請する場合 | ||||||
②許可換え新規 |
国土交通大臣の許可を受けていた者が一つの都道府県のみに事業所を設置して当該都道府県知事の許可を申請する場合、もしくはその逆のパターン(知事許可を受けていた者が二つ以上の都道府県の区域内に営業所を所有することになった場合) |
||||||
③ 般・特新規 | 一般建設業(又は特定建設業)のみの許可を受けている者が、新たに特定建設業(又は一般建設業)の許可を申請する場合 | ||||||
④業種追加 | 一般建設業(又は特定建設業)の許可を受けている者が他の業種について一般建設業(又は特定建設業)の許可を申請する場合 | ||||||
⑤更 新 | 既に受けている建設業の許可について、そのままの要件で続けて申請する場合 | ||||||
⑥般・特新規+業種追加 | ③と④を1件の申請書により、同時に申請する場合 | ||||||
⑦般・特新規+更新 | ③と⑤を1件の申請書により、同時に申請する場合 | ||||||
⑧業種追加+更新 | ④と⑤を1件の申請書により、同時に申請する場合 | ||||||
⑨般・特新規+業種追加+更新 | ③と④と⑤を1件の申請書により、同時に申請する場合 |
●⑦・⑧・⑨の申請で許可を一本で申請するものについては、更新する業種の許可満了日まで知事許可では30日以上(大臣許可では6カ月以上)残っている必要があります。許可満了日まで30日未満の場合は、それぞれ分けて申請する必要があります。
●⑤・⑦・⑧・⑨ について、前回許可を受けてから今回の申請(更新)までに、役員・営業所・経営業務管理責任者・専任技術者等の変更が生じていた場合は、更新の申請前に変更届を提出する必要があります。
◎許可の有効期間の調整◎
同一の建設業者で、許可日の異なる許可を2つ以上受けている場合は、更新申請する際に、有効期間の残っている他のすべての建設業の許可についても同時に1件の許可の更新として申請し、許可日を同日にすることができます。これを「許可の有効期間の調整(許可の一本化)」といいます。
また、既に許可を受けたあと、業種追加の申請をしようとする場合にも、有効期間の残っている他のすべての許可についても同時に許可の更新を申請し、許可を一本化することができます。ただし、この場合は、現在有効な許可の満了日まで知事許可では30日以上、大臣許可では6カ月以上残っていることが必要です。
※「許可の有効期間の調整(許可の一本化)」をする場合は、すべての許可日を同日にすることになります。一本化する業種を選択することはできませんので、ご注意下さい。
※知事許可の場合は、都道府県によって日数・取扱いが異なる場合があります。各都道府県の手引き・窓口でご確認ください。
【建設業の許可の要件等】
建設業の許可を受けるためには、以下の要件を全て満たすことが必要です。
①建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして、国土交通省令で定める基準に適合する者であること |
①ー1 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)または、常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者がいること ①ー2 適切な社会保険に加入していること 適切な社会保険への加入が要件化されたため、許可申請者は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険に加入している必要があります。 ※ 事業所の形態等により、社会保険等が適用除外となる場合もあります。 |
②専任の技術者がいること(資格・実務経験等を有する技術者の配置) |
「専任の技術者」とは、営業所ごとに、その営業所に常勤して専ら職務に従事する者であり、許可を受けようとする建設業に係る建設工事についての「国家資格又は実務の経験を有する」技術者をいいます。 ※一般建設業と特定建設業では、要件が異なりますのでご注意ください。 |
③財産的基礎・金銭的信用を有すること(財産的要件) |
建設工事を請け負うには、適正な施工を確保するため、許可申請者は相応の資金を確保していることを要します。 ※一般建設業と特定建設業では、要件が異なりますのでご注意ください。 |
④欠格要件等に該当しないこと |
申請者が法人である場合においては、当該法人又はその役員等、若しくは一定の使用人(支店長・営業所長)が、申請者が個人である場合においては、個人事業主又は一定の使用人(支配人)が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でない場合、基準に適合しているものとして取り扱います。 |
⑤建設業の営業を行う事務所を有すること |
建設業の営業所とは、本店・支店や常時建設工事に係る請負契約等を締結する事務所をいいます。 請負契約の見積り、入札、契約締結等に係る実体的な行為を行う事務所です。単なる連絡事務所はこれには該当しませんが、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行うなど建設業に関する営業に実質的に関与するものである場合には、この営業所にあたります。 したがって、登記上だけの本店・支店や、建設業の業務と関係のない本店・支店は該当しません。 |
上記①~⑤の要件については、書類により確認されます。
要件を満たしていることが確認できない場合には、建設業の許可を受けることができません。